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【起業噺】路上でコーヒー豆を売っていた話し

起業というとなんだか大変な感じがしませんか?

実際そんなに大変でもないですよと声を大にして伝えていくためのコラムでありぼくの自己紹介です。

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1年前まで、自己紹介で「路上でコーヒー豆売ってます。」と名乗ってた。
実際に、街中でコーヒー豆を煎て、売るということをしていた時期がある。

これは、自分だけで行った初の長期的なビジネス体験だった。

成果としては、そこそこだったと思う。
開始から1ヶ月ほどで収支が黒字になったのを覚えている。
めちゃめちゃ嬉しかった。

それまで、友達と一緒にフリマやせどり、就活イベントなどは運営した事があったのだが、最初から最後まで1人で全うしたのは初めてだった。

なぜ「一人でビジネスをやろう」と思ったか?と言うと、
単純に「自信をつけるため」「焦り」と「好奇心」だろう。

当時あらゆることに「自信」が無くなっていた。
大学の友達は就職し、中学の友達は数年前から自分で働きお金をもらっていた中、僕は大学でのうのうと遊び「何かやってやりたい。自分が面白いと感じることをやりたい。」と言ってほぼ何もしていない、モラトリアム全開で生きていた。振り返ると「面白い何か」にこだわりすぎていたと思う。

「何か」を探していたときに、就活イベントのためのミーティングで立ち寄ったフリースペースで受付の兄さんから面白い話を聞いた。

「コーヒーっていつが一番美味しいと思います?」

「挽きたてじゃないんですか?」

「良くそういうふうに言われているんですが、コーヒーは豆を煎た瞬間から酸化が始まり劣化していくんですよ。だから大切なのは挽いてからの時間じゃなくて、煎てからの時間なんですよ。」

へー。面白いなーとその時は聞いていただけだった。

その後、いろいろなところで出会った方との話題としてそのことを話していた。みんな初耳らしい。「煎た瞬間のコーヒーを飲んでみた方が、話に膨らみがでるな」、と思い店を探してみたが、なかなか見つからない。
しょうがないから、自分で豆を煎て、挽いて、飲む方法を探してみたところ、意外と簡単に出来そうだということがわかった。

道具を揃えて、豆を煎てみる。初回の感想は苦い。苦すぎる。
タイミングが難しいのだ。豆が「パチ」と弾ける音でタイミングを取る。
うまくいかない。3回目ぐらいで一人で実験するのを諦めた。

せっかく買ったのだから、一回ぐらい旨さを味わいたいと思いカフェの店員さんに聞いたのを覚えている。

4件目だか、5件目ぐらいの店員さんが手伝ってくれたおかげで、初めてタイミングが上手く取れ、コーヒーが飲めた。美味い。
それだけではない。ここまで失敗してきたコーヒーは15杯ほど。しかし、豆にかけたお金は、600円ほど。あら、安い。カフェで同じ量を飲むと、ドトールでも、3500円ぐらいかかる。更に調べると、豆の購入料を増やしたり、海外サイトで購入をしたりすると更に金額が落ちる。ほう。カフェはこう成り立っているのかと。

カフェやりてーと思ったが、先述通り金もないし場所もない。
場所がないなら外でいいやと思った。

試しに、コーヒー豆を買って目の前で煎て、売ってみようと思った。
場所はどこでもいい。友達の自転車に乗せて、走りながら売ってみたが売れない。そりゃそうだろうと今では思う。

次に「コーヒー豆を売りたいんだから、コーヒー豆を買いたい人が居るところで売ればいい」と思った。あまり考えずに「じゃあコーヒー豆売ってるところの近くで売ろう」と考えた。成城石井だ。店舗で売っている相場を調べ、駅から成城石井に向かう路地に面した場所で待ち構え、コーヒー豆を売ってみた。1日かけて200g売れた。

初めての客は、面白そうなことしてるなと思って話しかけてくれた方だと覚えている。コーヒー豆ではなく、僕に興味を持ってくれて買ってくれたのだ。すごく嬉しかった。初めての利益だが、全体の収支は圧倒的マイナス。
せめて、仕入れた豆をすべて売り切るまでは続けようと覚悟した。

売っていた場所は郊外の駅であり、家でコーヒーを飲むような方は少ないのでは?と仮説を立て、通りがかる人に聞いていたのを覚えている。
この調査を数駅繰り返した。そして、最終的にターゲット駅を定めた。

幸いにも、前に行ったフリマのおかげで場所を探す方法や安く借りる方法は身につけていた。駅近くで、時間貸ししているスペースであり、かつ特定時間しか使用しない方がかりている場所である。狙いは当時クレープ屋さんが昼間だけ出している場所。早速交渉した。

誰にとっても悪い話では無い。場所を貸している方にとっては収入に変化がなく、クレープ屋さんはレンタル料を減らせる。僕は夕方から夜の時間を使用できる。だが、なぜか難航した。というか、誰もが初めての提案だったので困惑したのだと思う。意外だった。

やめようと思った。1週間ほど交渉し、待ったが場所貸し主の許可をえられなかった。
そこから、更に1週間ほど経ち諦めていた僕はチャットボットなどを弄り始めており、コーヒー豆のことは忘れかけていた。

クレープ屋さんから、電話が来た。
「クレープ屋ということでやってみるかい?」

僕のクレープ屋という名でコーヒー豆を売る日々が始まった。去年の4月末だった。

なんとかコーヒー豆を売る「場所」を得た。あとは売るだけだった。

初日、ご祝儀的にクレープ屋の兄さんが買ってくれたことからスタートした。
が、気づく。何の告知もなく、ぱっと見怪しいところで、必須品でもないコーヒー豆を買おうとする人などそう簡単にはいない。

まずは、気に留めてもらおうと思った。
そこで、音楽を掛け、看板を作成し、店っぽい外観を作った。

「場所があり、『コーヒーは煎りたてが美味い』というコピーでお客さんは来る」と思っていた。

だが違う。今思えば、そんなに上手くいくはずはない。
売れないのだ。客が来ないのだ。
これは厳しいと、やめようと思った。

数日後、クレープ屋の方と話しをして、やめるのをやめようと思った。
「最初はそんなもんだよ。認知されるまで時間がかかるし、気長に気楽にやるのがいいよ」「最初はビラ配りや声掛けはしたね」とのこと。

ひとりでやるには難しいなと思った。
声かけ→焙煎→販売と一人で行うには厳しいものがある。友人と後輩を巻き込むことにした。「商売にフォーカスしたドキュメンタリーを取ろう!」と、芸術学部にいた友人を若干騙すような形で巻き込んだ。
(彼の卒業制作になるきっかけだったので許してくれるだろう。。)

その友人から車を借り、外見をそれっぽく整えて繰り出すことにした。
ビラ、狙う人を決め声掛けをしていく。
一人で行っている時よりも、だいぶ明るい印象になった。
フリマの時に学んだように、土日には着ぐるみなどを着て販売したりもした。豆の種類を増やし、煎る方法も改善していった。

5月中頃。
売上が少しずつ安定していった。5月初旬に購入してくれた方が、リピートして買ってくれていた。「帰宅ルートにあり、価格も安い」とのこと。

また半月に一度ほど買ってくれる方も何人かいた。
最初はコーヒーを飲む頻度がそこまで多くない方なのかと思っていた。
が、話を聞くと「半月に一度しかこの道を通らない」のが理由だった。

せっかく買っていただいている方に、何とか欲しい時に届けたいと思い友人とデリバリーも企画した。(結構人気であった。)

また、場所がしをしてくれたクレープ屋さんをボランティアとして手伝いながら、コーヒー豆を使用した商品を企画したりと楽しく過ごしていた。
気づいたときには、新商品としてクレープ屋さんのラインナップに並んでいた。コーヒー豆は僕らの商品を使用していただくことができた。

店頭・デリバリー・クレープ屋さんへの卸の3つで、収支は黒字へと転換することが出来た。5月末である。

営業する中で、怒られたことも何度かある。
場所を決めるまでは、近くの店舗の方に怒られたりしていた。コーヒーの匂いがしすぎていたのだ。友人の車もかなりコーヒーの匂いが染み付いてしまい、父親に怒られたこともある。客がゼロの日も、もちろんあった。煎るのをミスして、苦味が強い豆を渡してしまいクレームが来たこともある。

いいこともある。
「コーヒーは煎りたてが美味しいというウンチクが喜ばれた」と教えてくれた人がいた。目の前で煎るところを見たのが初めてで、友達に拡散してくれた人がいた。純粋に応援してくれた人もいた。毎日帰り道に声をかけてくれる方もいた。

自分だけでビジネス・商売をすることの難しさを知った。
誰かとコラボレーションする楽しさも知った。
売上がでないことへの恐怖心も知った。
人の優しさも知った。
自信もついた。

自分の頭で考えて、行動してみること。
ちゃんと収益を出す為にどう動くのか考えること。

失ったものは何もなく、得たものしかない貴重な体験だったと思う。
発案から3ヶ月半。

7月の半ばで、コーヒー豆を売る事業は後輩に譲り、僕の最初の「1人ビジネス」は幕を閉じる。